楽しきもの ;海のものとも山のものとも
2006/09/25 up    
笠間
『笠間焼きとは?』 ハンドクラフトの丘をサイクリング
2006/09/22

筑波山をMTBで登り降りした後、芸術家が集う里 笠間に向かう
笠間に向かう道沿いにも、陶や石のオブジェ(製品)が多い
 車を笠間駅横の駐車場に入る〈¥100/H〉
地図で見ると、笠間の街は広く、スポットも点在している
再び自転車を降ろす
幸い山行をこなした自転車は、さほど汚れてはいない。
 -ちなみに、駅横の観光協会にもレンタルサイクルがありました-
 『まずは腹ごしらえ』 と、フリーペーパーで目にとまった蕎麦屋を目指す。

松月庵
 お稲荷さんの向かいに[創業百年・古式そば]の幕が架かった蕎麦屋【松月庵】がある。
ここの古式そばを頂戴する まず、出てきたその麺の太さに驚かさせられる 『…うどんぐらいある』 
そして、この蕎麦〔ぎゅっと〕密度が高いため、普通の蕎麦の何倍も歯を使って噛む まるで“蕎麦がき”のようでした。
石臼引きの細目のため、蕎麦湯はとても濃くて美味しい。
海老揚げの乗った【古式・吹き上げ蕎麦】を頂く

噛む蕎麦です

粋なのれんの酒蔵
 近くの酒蔵で甘酒をいただきながら、門前通りを眺める 通りには、活気ある雑貨や民芸のおみやげやさんがたくさん軒を連ねている。
『これも狐様のご利益かしら』 今度は、その稲荷を見てみよう

笠間稲荷神社
 『京都・伏見のお稲荷さんも立派だが、笠間のお稲荷さんも大きいな』  赤い鳥居をくぐり参道の両脇には、仲見世が商売繁盛よろしく並んでいる
正面の社殿は、近代造りの味気ない建物だが、裏にある本殿は、手の込んだすばらしい彫り物でデコレーションされている
 『まるで Hans Ruedi Gigerだ!』
その彫り物は繊細でいて大胆、それでいて建物全体を引き締めている。  やはり当時は、金色や朱色の唐調だったのかしら?
むしろ、現在の古びた木目姿の方が、自分好みではある。
笠間稲荷美術館
 稲荷さまの裏に建つ美術館で【中世陶器 六古窯展/¥300】を開催している。 今回の旅の目的にも沿うものなので鑑賞させてもらう
日本のやきものの歴史が、実物と解説により紹介されていた。

土器
これは縄文と弥生の中間期

須恵器
(古墳時代)

瀬戸・印花紋瓶子
(鎌倉時代)

笠間・糠白青流茶壺
(明治時代)
 日本人は“やきもの”好きである。 多かれ少なかれ“やきもの”に対し、その人なりのこだわりを持っているのではあるまいか
土感のある陶器から、白い磁器までを食卓で使いこなし、そしてそれらを鑑賞するのは日本の独特の文化であろう
一方、諸外国 特に西欧では、金属やガラスの器に混じって“やきもの”が存在し、その“やきもの”も すでにほとんどが磁器であり、食器としての機能に重きを置くか、コレクション的な扱いをするかといった風に思われる
 日本は米食であることや、茶を飲む習慣も関与はしているだろうが、日本だけのコトでは無いのだから、理由はそれだけではあるまい。
やはり茶の湯や和食の精神・美意識が文化として根づき、日本人の心に宿っているのであろう。
外国の方が磁器に描かれた柄を「美しい、かわいい」と思うのは 当然かもしれないが、陶の土感や、釉薬の変化 -焦げていたり、細かいヒビがあったり、あるいは割れている- や、時間が作り出す手馴れなど、天の匠による景色を楽しめるのは、やはり日本人に生まれた幸せであろう。

上を向いて歩こう 歌碑
 笠間は【上を向いて歩こう/SUKIYAKI】で有名な坂本九さんの
-こころのふるさと-だったそうです。
戦時中、幼い坂本九さんは、母親の故郷である笠間に疎開して暮らし、有名になった後も、笠間を心の故郷として愛し訪れ、今も多くの笠間の人々に愛されています
そんな坂本九さんを偲んだ歌碑の側に、彼岸花が咲いていました

 芸術の森公園の周囲はギャラリーロード、やきもの通りと呼ばれ、数多くのギャラリー喫茶や陶芸体験の店が建ち並ぶ。
短時間では、数店舗を覗くのが精一杯!

笠間芸術の森公園

練上嘯裂文ボロ鉢

練上壺
 [伝統工芸と新しい造形美術]をテーマに造られた公共施設 広々とした丘陵の公園内に美術館や体験工房などがある。
今回は時間的に茨城県陶芸美術館を観る事ができなかった。
が、工芸の丘で 多くの展示作品を鑑賞することができた

 現在の笠間には、陶芸以外のハンドクラフターも、数多く工房を構えているようだ
公的な援助や協力もあるだろうが、一大町興しの様相である。
作;松井康成

春風萬里荘
 丘を越え駅の反対側 春風萬里荘に向かう
この茅葺の建物は北大路魯山人が住んでいた家を、鎌倉から移築したモノ 一応、名所であるらしいが、、、
 自分の考えでは、建物は簡単に移築するべきではないし、魯山人の評価も『趣味の良い、わがままな食い道楽ジイサン』なので、さらっと観るにとどめる。 〈¥600〉
それよりも、この辺りの自然環境の良さがうらやましい
夕暮れが近づく秋雲の空の下、周囲には手付かずの雑林が多く残り、南には愛宕・難台の山、北側のなだらかな盆地には、のどかな田園と笠間の街が見下ろせる。 もっとも、一番好い広大な草原地帯は、すでに誰かの私有地でした 『うらやましいぞ。』
 今回の笠間巡りは、『笠間焼ってどんな“やきもの”!?』 から始まった。
笠間が古くから陶の街であることは知っていた が、たとえば九谷は『大胆な色絵磁器』、益子は『民芸調の土モノ』、信楽は『土肌』など
各地の“やきもの”には、それぞれの特徴がある。 しかし、現代の笠間焼の場合 『こういったモノ』といった特徴がよく解らなかった
 本を読んでも 「特徴が無いことが特徴~」とよく解らない説明がされていてた。
乏しい陶芸の知識で美術館や、何箇所もあるギャラリーを巡り、多くの“やきもの”を観て触る。
コンセプト・技法・造形・色彩・使用目的など、まったくもって共通点が無い。 見ればみるほどに多種多様の笠間産の陶芸を目の前にし、
ますます、答えが解らなくなってしまった。
 しかし、ある有名な方の作品をみているうちに、自分なりの答えが見えてきた
『現代の笠間焼きは、物の特徴ではなく、作者の気持ちにある。 陶芸の可能性とオリジナリティーを追い求めたモノが笠間焼きと呼べるのではないかしら』
 ○○焼と言った産地やスタイルにとらわれず、「陶芸に彫刻作品のように自由に形ヲ、絵画のような色彩ヲ、工芸作品のように質感の楽しみヲ」 そしてそれは、陶芸がアート的な面と、生活道具としての価値 二面性があるものだけに難しい世界であろう・・・
 現在、笠間では、陶芸をはじめ、ガラス・アイアンなど数多くの方々がクラフトアートの制作活動を行なっている
どうやら、笠間はリピートで楽しむ里のようだ。
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