楽しきもの ;海のものとも山のものとも
2006/06/25 up    
檜枝岐 奉納歌舞伎
2006/05/12(fri.)
午前中は檜枝岐の山神である会津駒ヶ岳で山スキーを楽しみました
檜枝岐散策
燧の湯〈¥600〉】もいつの間にか、おしゃれなスパ施設になっていた
やはり歌舞伎を観にきたというおじいちゃんが言う 「ほんま、エェ湯じゃ」
露天から一緒に満開の桜を観る
湯質は透明な低張アルカリ泉 pH9.1 口に含むと硬質で〔コキコキ〕感があるが肌には染込み心地よい
会津駒を登られていた方に湯船で再会
雪に塞がれた林道を嘆き、極楽だった頂上と下山後の湯に二人で満足する


歌舞伎は17:30開演 まだまだ時間があるので村を散策する
残雪、桜、新緑 村の春は一度にやってくる
温泉で山の汗を流した後は、裁ち蕎麦を頂く 今回は【かどや】だ
前回訪れた際に頂いた 【丸屋】より細挽きの粉を使っているようで、いくぶんなめらかな蕎麦だ
蕎麦薬味が残ったつゆに蕎麦湯を入れると絶品だ
地元のお年寄り達が祭りのためか、はしゃぎながら茶のみをしている
何を話しているのか? 方言が強く自分にはまったくわからない
檜枝岐は深いV字谷最奥の底にある辺境村
上流の道は尾瀬の脇を抜け越後に抜けられなくもないが、かなり山深い路だ
塩原からの路も今はだいぶ整備されたが、それでも村にたどり着くにはいくつもの山や橋を越えねばならない
冬は日本有数の豪雪地帯で、現在でも陸の孤島と化すおそれがある
今年は特に雪が多かったのであろう 村のあちらこちらに大量の残雪がある

檜枝岐村の始まりは「平家の落人が隠れ住んだ」という話が今もまことしやかに伝わる
江戸時代は漆ロウソクと豊富な檜の産地のため幕府直轄(チョッカツ)の地だった
戊辰戦争時は落人に対する厳しい関所の役割もはたしたという

現在は-自分が知っている過去から比べても- だいぶ観光に力を入れているようだ
 六地蔵
 かつて村が貧しかった頃 まびきされた幼子の供養碑
  バンバ様 →
子供を水難から守り、悪縁を切ったり、良縁を繋ぎとめたりと民間信仰神
縁を切りたい者は良く切れる新品の鋏を、縁を繋ぎとめたい者は錆びた鋏を供える
繋ぎとめを願った錆びた鋏の口は紐や針金がグルグル巻きにしてある
ただ今のご時勢、切れる鋏を供える者のほうが多いようだ・・・

檜枝岐には石仏が多く残る

村の道端に水芭蕉
 豊かな清流の証
黄金花群生地  -青い【コガネハナ】とは異なる-
国道より少し高台に群生する 5月中旬〜6月が見ごろだそうだ
茎や葉は福寿草に似ているが花は大ぶりだし、黄色もレモン色に近い
正式名は何というのかしら? かわいい野草花だ

開演時には舞台前にも
ゴザが敷かれ土間席になる
檜枝岐の舞台
 こんな小さな村に風格ある立派な拝殿兼用の歌舞伎の舞台がある
今日の参道にはノボリが立ち、楽しいことが始まることを知らせている
山に続く高台には神社が建ち【燧】と【駒】を祭ってある
社殿への斜面は石段状になっていて、ここが浅敷となる


境内の桜も今が見頃
 コロッセオや野外劇場を彷彿させる
 『日本にもこんな場所があるんだ』
 開演が楽しみだ
開場は16:30から まだ時間があるので村のはずれで昼寝する 春の日差しがポカポカで気持ちよい

 

スポンジのお座部が
貸し出される気配りがうれしい
開場前、観光バスも数台やってきた 村の宿も今夜はどこも満杯のようだ
本来、村民の娯楽歌舞伎なので料金も無ければ、チケットも無い
すでに多くの観光客が参道に並んでいる 自分も最後尾に並ぶ
260年以上の歴史をもつ農民芸能 役者さん、裏方さん全て檜枝岐村民の方々だ 衣装やセットも手作りだそうだ
江戸時代、檜枝岐の村民が御伊勢参りの帰路に江戸の歌舞伎を観て、それを見よう見真似で創め、春と夏は必ず開催されてきたという
春の歌舞伎は神社奉納として公演される

17:30 〔ドドン〕と一番太鼓が鳴り響きいよいよ開演
最初は「寿式三番そう」
解説によるとこれは歌舞伎では無いそうだ
中央に祭壇が祭られ歌舞伎を始める前の清めの儀式といったトコロか
舞台の四方で披露される見得が神聖に思える
インド〜中国〜日本と渡ってきた九尾の妖狐は有名な話だが
こんな話筋は初めて知った この演目では妖怪変化は出てこない
親子の愛情や義心の話だ
ここで生き延びた妹;初花姫がのちに玉藻になるとは思えない展開だ
梨園では女役は女方だが、
ここでの両姫や萩の方は女性が演じる
[萩の方]の感情の動きの演技が素晴しい
悲しみや迷いの場面では、わずかな身の動きがそれを表し、[金籐次]に怒りをぶつける場面では圧倒する演技が見事だ
近松の有名な話なのであろう 話筋も何となくだが聞き覚えがある
雪中で三味線を弾く盲目の母親と寄り添う娘 源氏の白旗に書かれた血文字と-本来は源氏に屈するはずが-フィナーレで広げられる赤旗
そのストーリーが雪深く、平家の落人伝説が残る檜枝岐の地にピタリとはまる 境内の桜も〔はらり〕と散り 舞台演出に一役
[お君]を演じた少女のいじらしさ・愛らしさに涙ぐみ、[貞任]のぶっ返りによる豪華な衣の変化に喝采を送る
21:00 あっという間の3時間半 日常ではない世界に引き込まれた
村民の方々の演技と裏方の技 共に とても素人とは思えないすばらしいモノだった
けして格式ばったモノではない 時折村の子供達が舞台下で走り回り、ほろ酔いかげんのおじさんから舞台の知人に掛け声が飛ぶ
今でこそ、村は観光地となって収入も増えたかもしれないが、ちょっと前までは米が造れない貧しい村だった
そんな場所で300年近く絶えることなく、村人が村人のために受け継いできた伝統
そして、それを披露するのが季節感ある山裾の野外舞台という素晴らしいロケーション
本当の歌舞伎や梨園のコトはわからないが、この檜枝岐で見た歌舞伎は 多々【こころうつもの】があった
木賊(トクサ)温泉
雪山スタイルで寒さを忘れ観劇していたが、幕が引かれれば【春になったばかりの夜】だという事を思い出す
すっかり身体が冷えてしまった

奥側、一ノ湯が熱め
少し寄り道だが【木賊温泉〈寸志〉】に寄ろう 谷に下りてゆくと小屋の前でヘッデンが光っている
『何だろう?』と思ったら、川横で -この湯は川の真横にある- 夜の渓流釣りをしているおじさんがいる
良形のイワナを三本あげている 『しまった、竿を持ってくれば、温泉に浸かりながら釣りができたかも!?』
好みの熱めの湯に浸かりながら、その姿を想像し 『おかしくもあり 素敵でもあり…』
後からきた、やはり桧枝岐帰りのおじさんと共に一枚岩の湯船から[釣りおじさん]の釣果を見守る
身体は温まった 今日は昼寝もした ノンストップで自宅へ
 木賊温泉→【西那須野塩原〜岩槻/東北HW】→自宅 4時間/約250km〈¥3,100〉ETC
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